

違法な理由と対処法
ここ数年、トレントソフト(Bit Torrentなど)を利用した著作権侵害・パブリシティ権侵害のご相談が非常に増えています。
まさか自分は大丈夫だと思って、P2P方式のファイル共有ソフトを利用してアダルト動画やアニメをダウンロードしてたら、上記のようなトラブル(意見照会書/発信者情報開示請求/損害賠償請求)に巻き込まれてしまったというご相談です。
トレントソフトを利用して、ファイルをダウンロードすると自動的にアップロードも実行されてしまいます。
ご自分では意識せずとも、自動でアップロードしてしまい、第三者がダウンロードできる状態にしてしまうことから、著作権(送信可能化権)を侵害してしまうのです。
このように、ご自分がアップロードしてしまっていることを何ヶ月も気にしないで過ごし、いつの間にか著作権侵害の加害者として扱われてる事例が多いのです。
ある日突然に通知が来て、慌てて当事務所へ相談のご予約をされるというパターンが大部分です。
最近は、著作権者の意識も高まり、お金をかけてでも権利を守るため、P2P FINDERなどによって著作権侵害の痕跡を追って、加害者を特定して請求することが特別なことではなくなってきています。
権利者側が加害者側(トレントソフトを違法に利用している方々)を探し出して、損害賠償請求をすることは、費用もかかりそれほど簡単なことではありません。
しかし、自覚的にせよ無自覚にせよ、トレントソフトを利用した違法なダウンロード等があとをたたず、コストをかけてでも発信者情報開示請求をするようになってきています。
2021年から2022年にかけては、当事務所で扱った事案のほとんどは、1社のみから賠償請求を受けているというものでした。
ところが、2024年から2025年の現時点では、2~3社から発信者情報開示請求を受けたり、損害賠償請求を受けることが珍しくなくなっています。
権利者側の意識の向上にともなって、侵害者に請求される損害賠償の負担は増大していると言えるでしょう。
民事責任と刑事責任

トレントソフトを違法・不当に利用して著作物をアップロード等した場合、刑事上の責任と民事上の責任が発生します。刑事上の責任とは、犯罪であり前科がつきます。
民事上の責任とは損害賠償責任(お金の支払い)です。
まず、民事上の賠償責任について述べます。違法にダウンロード(又はアップロード)したことについては、通常は著作権者側が証拠を固めており、争うこと(否定すること)は難しいと思われます。
また、具体的な損害額の計算ですが、この点についてはいくつかの計算方法があり、少し複雑です。
一例として、例えば、アップロードされたファイルのダウンロード回数×販売利益の額を損害として推定する方法などが存在します。
なお、より深く知りたい方は、当事務所の弁護士らが判例解説を行った論文がございますので、ご覧いただければ光栄です(もちろん、ご相談者が上記の論文を読んだり、理解したりする必要はございません。
いずれにせよ、本来的には、賠償金額の計算方法や、実際の違法ダウンロード(アップロード)の状況によって賠償額が決まるのが原則です。
ですので、数千回もダウンロードされていると、理論上、何百万円もの賠償請求を受ける可能性があるのは事実です。
実際にそのような請求を受けた案件を処理したこともございます。
ただ、訴訟と任意交渉では事情が色々と異なるので、できるだけ早く弁護士に相談して、話し合い(任意交渉)で終わらせることが、心理的な負担感も少ないですし、早期解決への第一歩だと思います。
次に、刑事責任について延べます。例えば、違法アップロードの場合は、10年以下の懲役刑と1000万円以下の罰金のいずれか、またはその両方を科される可能性があります。ただ、多くのケースでは刑事裁判になる前に、弁護士同士で交渉するなどして、和解(示談)をすることが多いので、刑事裁判に至ることは珍しいと思います。
逆に言えば、加害者側が責任を認めて、真剣に被害者と和解交渉(示談交渉)を行うことが大切です。
万一、態様が悪質だったり、被害の規模が大きかったり、真剣な和解交渉(示談交渉)をしていなかったりなどで、警察が捜査を進めるような場合は、自宅のPCやサーバーを調べられたり、押収されたりする可能性があります。
弁護士に交渉を依頼するなど、真剣に対応すれば可能性は低いと思いますが、ドラマで観るような状況もないわけではないと言うことになります。
著作権侵害における 刑事事件化されない円満解決とは?
ビットトレントなどのファイル共有ソフトウェアにより違法な動画共有をやってしまった方にとっての、その後のリスクとしては、民事訴訟での損害賠償請求に加え、刑事事件化されるリスクも想定されます。
そこで、この場合の円満な解決策としては、ある程度のお金を払うことで、民事・刑事の責任追求をこれ以上しない、というような内容の「示談書」締結をゴールに設定することが多いです。

相談はご遠慮なく
著作権者側が訴訟を前提とした手続きを始めている以上、こちらに心当たりがあっても無くても、放置しておいて良いことはありません。
離婚や相続のトラブルであれば、時間が経つと仲直りする場合がありますが、トレント系のトラブル(著作権侵害・パブリシティ権侵害)は損害賠償請求なので、時間が経つほど被害感情や遅延損害金等が増える場合があり、放置は避けたいところです。
意見照会書が届いたら、少しでも早めにご相談ください。ZOOMやLINEによるオンライン相談も初回無料でお受けしていますし、相談の日時についても、土日祝日や夜遅めの場合など、可能な限り迅速な対応ができるよう努めています。


